2005年01月04日
正月、実家にて
正月は実家に12時間だけ居た。
今年は、妹たちとはタイミングが合わなかったので、
両親と3人で、たくさん話をすることができた。
たまにしか会わない人との会話は、とても密度が高くて、気持ちがいい。
現在の音楽教育のまわりにある問題について、
音楽教室を営む母親からいろいろな話を聞いたので、3つほど書きとめておく。
1)デジタル楽器の弊害
音楽教育にとって、デジタルピアノをはじめとするデジタル楽器は良くないと言う。
音楽をめざす人のうち、先天的に絶対音感を持っている人は、
数千人に1人しかいない。ほとんどの人は、後天的に絶対音感を学ぶしかない。
絶対音感は、音楽を学ぶ上で非常に有利な技能とされるため、
絶対音感を身につけることは重要な項目である。幼児のうちから音感を鍛えることで、
ほとんどの人が後天的に音感を身につけることが可能である。
しかし、デジタルピアノは、アナログのピアノとは異なり倍音成分
(ほかの弦や匡体や部屋が共振することによる音)が非常に乏しく、
強弱も高々1024段階しかないため、絶対音感が養われないのだという。
倍音成分の多いアナログピアノだと、聴覚への入力が多様であるため、
覚えるのが圧倒的に速いらしい。たとえば、アナログピアノの場合は、
調律が少しぐらい狂っていても周辺情報だけで類推できる
(すべてのアナログピアノは、少しづつ調律が狂っている)のに、
デジタルの場合はまったく不可能で、音感自体が育たないらしい。
だからアナログ楽器のない音楽教室では、本当の音楽教育ができにくい。
また、アナログピアノをある程度練習したことがあれば、
その後にデジタルピアノを使うことにはそれほど弊害はないが、
最初から最後まで純粋にデジタルピアノを使うことが良くないらしい。
仮想楽器のこのような問題は、実は情報技術による仮想化によるもっとおおきな
問題につながっている気もする。心に留めておこうと思った。
ちなみに、アナログ楽器をリモートから操作して音声をネット越しに流すことで、
上記の問題は半分ぐらい解決するかもとか、PCM音源のようにサンプリングされた
音を再生するだけの楽器ではなくて、物理シミュレーションをベースにした
楽器にすればマシになるかもとか、いろいろ話をしたが、そういった楽器(?)
も音楽教室を中心に、ある程度はニーズがあるとの事だった。
2) 少子化の話
実は、音楽教育の業界は、2歳~18歳の若年層が主ということもあり、
少子化の波の最前線に立っている。ここでも、予想どおり、
すべての音楽教室の売り上げが少なくなるのではなく、
より高品質な教室がもっと生徒を集め、低品質な教室が潰れていくという構図ができていた。
幸い、母親の教室は生徒が増える傾向にあるようだが、このような傾向は、
情報入手手段の質が変化したことによって起こっているのではなく、
音楽教育業界において供給過多になっているときに、
零細な音楽教室が経営をやめることを判断する生徒数の閾値が、
1ではなく、15あたり(総収入が10~20万)にあるのが原因だろう。
つまり、生徒数が15の時点で、ある音楽教室が経営をやめたら、
その地域での15人分の音楽教育のニーズが消えてしまうわけではないので、
近隣の、別の音楽教室がそのニーズを吸収するしかないという事である。
こうしてでかくて目につきやすいところは急激に拡張することになる。
これは業界再編と呼ばれる一般的な現象の一種かもしれない。
音楽教育業界では、これが激しく起こっている。
3)ファンタジー小説の流行について。
音楽教室の待ち時間には、女の子はひたすら本を読んでいるらしい。
学校でもかなり流行しているとのこと。
40歳ぐらいの親にとって、子供に1万円分のエンターテインメントを与えたいときに、
プレステ用のゲームを1~3個か、DVDを3~5枚か、400円の本を25冊か、選べと言われたら、
いまなら、迷いなく本を選ぶような気がする。
消費するために必要な時間あたりのコストも大事だけど、
本からのほうが1円あたり価値のある情報を多く得られるだろう。
本だったら、最新でなくて良いなら図書館も使えるし、
古い本も新しい本と同様に探すことができる。
ゲームだったら、最新でないゲーム機と昔のゲームを中古屋に行って探さないといけないけど、
40代のいそがしい働きざかりのには、そんなことをしている時間はないに違いない。
・・そうじゃなくて、コンピューターの潜在的な表現力はもっともっと
高いのだから、ゲームの内容をもっと濃くするにはどうしたらいいか、
という方向に考えるのが筋だ。もちろん。
今後数年のあいだに「価値のあるコンピューター・エンターテインメント」
という軸で、ひとつのことを完璧にやり遂げることができれば、
業界再編に飲まれずに生き残れるのではないか。
Posted by ringo : 2005年01月04日 19:25
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