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2005年02月14日

脳の性質と組織作り

最近、科学的な見地から、すべての人間が生まれつきもっている性格や、
すべての人に共通する文化的な行動について述べた本をいくつか読んだ。
(スティーブン・ピンカーのBlank slateシリーズや、
ドナルド・ブラウンのhuman universals など。 )


それによれば、脳の基本構造は、母親の体内に発生してから生後1年半までの
あいだに遺伝的に決定されるが、そのときまでに、人間の性格や行動パターン
のうち、かなりの部分が決まってしまうことがわかってきたという。
たとえば、ある人の脳の性質のうち、
* 外交的か/内向的か
* 悲観的か/楽観的か
* 現実の変化に柔軟か/かたくなか
* 記憶力
* 新しい言語を覚える能力
* 性的志向
などの基本性質は、先天的に決まる傾向が強いという。
それに対して、どの言語を話すかとか、気くばり、空間把握能力、
がまん力などは、後天的に決まるという。

私の人生をふりかえると、10歳ぐらいのときにものごころがついてから
もう20年ぐらいたつことになるが、そのあいだに5~10年以上つきあっている
家族を含む20人ぐらいの友達や仕事仲間については、
たしかに、ここで先天的に決まると言っているような性質は、
10年以下のスパンでは、ほとんど変化していない。つまり、体験と一致している。

長期間持続できる組織を作るときには、その組織を構成する人のどの部分を
教育で変化させようとし、どの部分を変化させようとしないかの判断が重要だが、
このような科学的成果は、重要なヒントを与える。
たとえば、人と話すときに緊張してしまって知らない人との
コミュニケーションを心から楽しめない人を、
もっと外交的な性格にしていくためにいろいろ手を尽くすことを考えるよりは、
その人の内向的な性格を肯定して、職人の道を突き進むように配置を
調整すべきだといった判断ができるようになる。
あるいは逆に、現時点で、取引先に対して失礼なことを言ったり、
言葉づかいがめちゃくちゃだという問題をかかえる人に対して、
性格がなっていないからダメだという烙印を押すのではなく、
気くばりについては学習しやすい分野だから、
教育プログラムを組むといった判断もできる。

無駄な教育のために無駄な投資を省くことができるし、
全体のストレスも相対的に軽減されるだろう。
あるいはシビアな例としては、記憶力は修正できないので、面接や試験の段階で、
記憶力については厳しくチェックしたくなるかもしれない。

脳の機能が明らかになっていくことについて、多くの人は、
「自由がなくなっていくのではないか?」 という不安をおぼえるようだ。
しかし、そう単純には自由は減らないはずだ。むしろ、
機能が明らかになればなるほど後天的に変更できる部分もたくさん見つかるので、
自分の脳に適した教育を選択できるようになるだろうし、
不足した部分をうまく補う道具もたくさん開発されるだろう。
そして、不足した部分を補う最良の方法は、不足した部分をもつほかの人とうまく
協調してやっていくことである。
脳の足りないところや優れたところを見つけだし、IQやEQのような一元的な値ではなく
もっと多様な変数であらわすようなツールを作り、そのツールを使って脳と脳を
マッチングできるようなしくみがあれば、それは、
すごい組織を作るための必殺ツールになるに違いない。
そして、そのようなツールが使われる世の中は、もしかすると、
現状の学歴社会よりもはるかに自由で健全なのかもしれない。

Posted by ringo : 2005年02月14日 11:17

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