« 2006年02月21日 | top | 2006年03月23日 »
2006年03月21日
仮想世界と環境問題
結婚に関連した忙しさも終わり、ひさしぶりに時間ができたので、
今日は、ほうじ茶を飲みながら、仮想世界についてじっくりと考えていた。
かねてから、地球に住む方法について、Whole Earth Catalog を
もっと新しくしたような方法でリストを作りたいと思っていたので、
軽くはじめてみた。
ーー
住む場所が温帯であれば、綿または毛に準じる、外気を遮断することができる布の服を、
トータルで10平方メートル分ほど。ただし、からだを動かしやすくするために、
適切な縫製をする必要がある。 さらに、木・皮・プラスチック・ゴムでできた靴。
布団、カーテン、タオル、下着、ベルト、ぼうしも1人あたり1点づつ必要。
これらはすべて年間20%づつ劣化していくので、毎年補う必要がある。
さらに年間500リットルほどの淡水。
1年を通して6種類ほどの穀物と、50種類ほどの野菜と、
20種類ほどのタンパク源と、合計5kgほどの、不純物を含む軽金属を中心としたミネラル。
ミネラルは、調味料という形態で、15種類ほどに分かれているのが使いやすい。
料理用の、鉄・ガラス・プラスチックでできた入れ物が数点と、
研ぎ澄まされた刃物が3種類、手によくなじむ食器が20点ほど。
次は住む場所。地震・雪・風でも崩れない屋根をもち、雨と直射日光を防ぐことができ、
平らで、15度〜30度の間に気温を保つことができ、
90%の時間は騒音がなく、音が漏れず、
1人あたり30平方メートルほどの、隣人から数メートルから数十メートル離れている部屋。
軽作業ができる机が最低1つ、収納用の棚が2立方メートルほど。
気候の厳しい地域では、必要に応じて、熱交換ができる機械や、可燃ガスなどの熱源。
照明器具、海水の淡水化装置、年間500kg程度の汚物を処理できる装置。
これらは多くの電気を必要とするので、電力の供給が必要になる。
感染症の厳しい地域では、防虫剤や殺虫剤などの有機薬品が必要になることもあるだろう。
ちなみに、入り口に鍵をつけられば安心して眠ることができる。
もし70年以上生きたいと考えるなら、1年あたり1g程度の抗生物質と、
1日以内に医師と相談できるしくみ、2時間以内に到達可能な病院、
火災報知器、緊急信号を送れば20分以内に来て実力行使してくれる警察官か民兵。
心の健康を保つには、コミュニケーションや教育・娯楽の手段も必要だ。
10000km以上離れたところの情報を光速の50%以上の速度で、
1Mbps程度の速度で入手できる、現在のインターネットに対応する通信インフラと、
1秒間に1億回以上の計算ができる通信機能つきの計算機、
聴覚・視覚・触覚を利用した入出力装置。
またそれらがほかの人にも十分に普及していること。
文字情報や音楽などはネットから入手する。紙でできた本などは、
かなり贅沢だが入手できるとなお良い。
自分の姿を美しく見せるために、髪を切る道具や、
美容用の粉末や液体なども、数種類あるとよいだろう。
必要なサービスを得るためには、数千人以上の人に直接会いに行く必要があり、
彼らは数km以上の面積に散らばって住んでいるので、
徒歩の10倍程度の速度で10kmほど移動できる共用の乗り物を、
週に5回程度使えることも必要だ。
住む場所の近くに、週に数回散歩や運動ができる程度、
1人あたりにして住宅の50%程度の共用の場所が必要。
これらの空間は、異なる仕事の人や、住む地域の異なる人、年齢の異なる人、
通りがかりの人と話し合うためのスペースとしても使われる。
共用空間が住むための空間より多ければ、
より快適になるだろう。ただしこの空間の維持には手間がかかるので、
生活時間の2%ほど(1週間あたり2時間)は、共用空間のために時間をとられるだろう。
子供が生まれたら、生まれてから15年たつまでに、上記の資源ひとり分を、
必要な順で用意する必要がある。
以上を「必須項目」とする。
武器やふだん使わない道具、数百km以上の遠方や海のむこうから持ってきたもの、
巨大な墓やダイヤモンドのような大量のエネルギーを必要とするもの、
大音響を出せる道具、空をとべる道具、酒、たばこ、ドラッグ類、ペット、植物、
徒歩の10倍以上の高速で移動できる装備、100平方メートル以上の広さの家など、
数十年生きるために必要ではないものは、生きるために必要不可欠ではないが、
これらは、「自分が他の人と異なる」という、重要なことを表現するために、やはり必要である。
これらを「ぜいたく項目」としよう。
ーー
さて、こうやってリストを作ると、「ぜいたく項目」の多くの部分は
仮想空間に持ち込むことができることがわかる。
「必須項目」の部分は、「仮想空間に持ちこめない部分」、
「ぜいたく項目」は、「仮想空間に持ち込める部分」である。
ぜいたく項目を仮想空間に移転すれば、資源を節約することができる。
たとえば、自分が他の人と異なることを物理的に示すために、たとえば、
フランスで作られた革製品を身にまとうとする。
そのために必要な資源で、おそらく、いま飢え死にしそうな人が、
あと1ヶ月は生き延びることができる。
たとえば牛を育てるためには、2トンのえさを牛に食べさせる必要があるし、
皮をなめすためには数リットルの酸や顔料などが必要になる。
最終的にやりたいことは、めずらしい衣服を着ることだから、
仮想空間内で牛を育て、酸でなめし、衣服をつくり、輸送し、
稀な衣服をとりよせて最終的に身につけることで、
同じ程度の「稀さ」を実現できるし、そのためには、
2トンの穀物や酸などは必要ない。おそらく、数秒分の計算機資源と、
同程度の人間の手間となり、必要な資源は数分の1になるだろう。
もちろん、本物と同じだけの多様性を実現するためには、
本物をつくる以上の計算機資源が必要だが、
人間には想像力があるので、本物よりも多様性を減らしつつ、
必要な部分だけを残すモデル化によって、
満足度をかなり近づけることができる。
地球の人口が増え続け、資源が枯渇すればするほど、
仮想空間は必要になっていく。資源が本当にぎりぎりになれば、
仮想空間を使うしか自己表現の手段がなくなるかもしれない。
自分を表現する手段としてのブログが流行するのも、
資源の問題と無関係ではないのかもしれない。
ーー
そういえば、「お金」は必須項目にも贅沢項目にも存在しない。
情報技術が発達したら、「お金」はいらなくなったりして。


