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2006年03月23日

託児所の共有

1890年ごろ、ガウディが、サグラダ・ファミリアを建設する際に、
まず最初にしたことは、工事現場の隣に、保育園を作ることだった。
彼は、100年以上かかるプロジェクトに安心してとりくむためには、
労働者の生活をトータルに支援することが必要と考え、
その一環として保育園を併設することが必要だと考えたのだ。

東京において、仕事と家庭生活の両立は、
夫婦が共働きで、かつ、子供がいる場合は非常にむずかしい。
さらに、共働きの家庭で、夫婦の両方が忙しく働いている場合は、
子供を育てるための資金が十分にあるにもかかわらず、
託児所の運営システムが自分の仕事に合わないため、
子育てのための時間がとれないことが障害となる。
金はあっても時間がないか、あるいは、育児の質を落とさざるをえなくなる。
私が子供をつくる場合は、この問題を解決する必要がある。

先週土曜日の「ワールドビジネスサテライト」にて、
託児所を設置して社員の士気を高めた企業の話がでていた。
この会社は都心にあるわけではないが、
まず会社の土地にプレハブ小屋を建てる費用が1700万円、
さらに保母さんが1人常駐で、維持費用は年間500万円が必要だという。
1人の保母さんで数人の幼児まで面倒を見れるようだ。

このコストを1社で余裕をもって負担するためには、
ソフト開発の会社であれば、3〜5億円以上の売り上げと、
平均年齢が26歳程度で、社員が50人ぐらいの規模が必要になるだろう。

しかし本当に会社つき託児所を必要としているのは、
もっと小さな会社を経営している若い経営者や、
ベンチャー企業ですごい勢いでプログラミングしている30歳に近い世代のエンジニアである。
彼らの会社は社員数が1桁で、売り上げも数千万円といった規模であり、
一社で託児所のコストをまかなうことはむずかしい。

たとえばコミュニティーエンジンの所在地から徒歩10分の範囲には、
ソフトウェア会社が、おそらく10社はある。
オペラシティだけでも数社はあるだろう。

似たような仕事をしている会社は、似たようなニーズをもっているだろうから、
複数の会社が託児所の運営費用を分担して支払い、
経営方針に関して発言権をもち、保育士さんの人数や、開園時間、
教育のしかた、送り迎えのやりかたとか、病院との連携、
などなどを決められるしくみを作れば良いかもしれない。

基本的に、託児所は、自宅の近くではなく、仕事場のそばにあるほうがよい。
その理由は、子供の調子が急激にわるくなったときに、
「いま仕事を中断して帰宅するかどうか」の判断を瞬時に下すことができること、
仕事の休憩時間に少しでも子供と遊んだりできること、
何よりも物理的に近いほうが安心だということがある。
たとえば、仕事場のそばに託児所があれば、
「育児中は、日中に1時間の休憩を3回とってよい」
というルールを設定することが可能になる。
これが自宅近くの託児所だと、往復時間だけでかなりの時間を使うので、
現実的でなくなる。

新しく託児所を作るよりは、既存の託児所の経営上のオプションとして
施設を再利用できるほうがいいかもしれないが、過剰な施設のために
余分なお金を支払うのはもったいない可能性もある。

徒歩10分の範囲内に、託児所を共有できるほどの数の
ソフトウェア会社が集中しているという状況は、東京では、
渋谷区と新宿区ぐらいしかないかもしれない。

いちどこの考えについて身近な経営者に話しを聞いてみよう。

Posted by ringo : 00:28 | TrackBack

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