手段と結果の自由度について
人をタイプわけするのはあまり好きではない。
しかし、人の行動パターンには傾向があることも確実である。
その行動パターンに名前をつけることもできる。
昨日、私が私塾の師としている人と飲むことがあったのだが、
そのときに「経営者タイプ」と「プロデューサータイプ」
という傾向の名前がでた。
彼はこう言う。
「中嶋君はプログラマからプランナーになったところだね。
プランナーの次はプロデューサーか、経営者か、
どっちを目指すのがいいんだろうね。」
プログラマというのはプログラムを書く人だ。
プランナーというのはどんなプログラムを書く必要があるか知った上で、
ゴールへの到達方法を考える人だ。プランナーのゴールの単位は「製品」だ。
だから「製品プランナー」と言ってもいい。
コミュニティーエンジンでは、エンジニアにはこの両方の仕事を期待している。
多くの小さなソフトウェア企業では基本的にそうだろう。
私自身もそのような仕事をしてきたと考えている。
師に、プロデューサーと経営者の違いは何かについてたずねた。
するとこういう意味であるという。
世の中をこうよくしたいとう最終結果Xがあるとする。
Xにはたとえば貧困をなくすとか、病気を無くすとか。
私自身ならば人間の創造性を拡張したいという願いがある。
Xを実現するためには、何らかの手段Yが必要だ。
XのためならYはなんでも良いとする人が経営者、
かなり狭いYを決めてそれでXがいかにして可能かを考える人が
プロデューサーであるという。プロデューサーにとってはXは自由だ。
まとめると、最終結果を固定して手段を柔軟にするのが経営者。
手段を固定して最終結果を柔軟にするのがプロデューサーだ。
彼から見れば、たとえばGoogleでは創業者2人がプロデューサー、
シュミット氏が経営者で、シュミット氏は自分が持っている最終結果に
2人が持っている手段が現時点では合致すると
分かったから参画したのだろうという。
任天堂の岩田社長や久多良木氏はプロデューサー、
スクエニの和田社長は経営者であるという。
アップルのSteve Jobsも、「箱に入ったコンピュータ」
という手段を片手にいかにして最終結果を実現するか、
最終結果を固定せずに考えているように見える。
どちらがいいというのではない。どちらの立場でも、
素晴らしい最終結果を出すことはできるのだ。
この2種の人々は相互に補い合うシステムを作って活動し、
最終結果を実現することができるからだ。
成功している組織では双方のタイプの人が活躍しているのだ。
最終結果をとことん考え続けるのと、手段をとことん考え続けるのと、
両方が必要であることは明らかだ。
どちらか一方だけを選ぶ必要があるというのではない。
スタート地点では補完関係が弱いから、両方を自分でやる必要もあるだろう。
時間と経験が経過するなかで、より自分に合ったほう、好きな方を
選択していくだけだ。
ひとつ言えそうなことは、手段と目的の両方を同時に固定すると、
固定している部分が多すぎて、可能な仕事の範囲が狭まりすぎ、
結果として何も実現できない確率が上がるかもしれない事だ。
たとえば、計算機とネットワークという手段と、
創造性を拡大するという最終結果の両方を固定してしまうのは、
狭くしすぎな可能性がある。
どちらかを自由にしておいたほうがいいかもしれない。
これについても今後考えたいが、まずいまは置いておく。
さて、自分にとってどちらが向いているのかを考える。
私は幼少時代から、計算機とネットワークという手段に魅せられ、
これまでの20数年間、没頭をしてきた。
これについて何の後悔もしていないし、
たぶん今後も没頭を続けるのだろう。この手段が気に入っているのだ。
ある手段に関して、膨大な時間的投資をしたのだから、
そのぶん、自然と、ほかの事には習熟していないのだろう。
「人間の創造性を拡大する」という最終結果に対して、
経営者であれば、学校や教育法を作るとか、知育おもちゃを作るとか、
未踏ソフトウェアのような投資活動をするとか、結果を最大化するための
さまざまな手段について考えをめぐらす事になる。
プロデューサーであれば、計算機とネットワークという手段を活用し、
高めながら、いかにして創造性を拡大するか、
あるいはほかの最終結果を出すことが可能かも含めて考えていく。
師は「中嶋君は経営者よりプロデューサーを目指すのがいいかもしれないね。
エンターテインメントやものづくりの業界は、
プロデューサータイプの人が大きな結果を出しやすいフィールドだと思うよ。」
と言っていた。
人生の金言とは、こういう言葉のことを言うのだ。
すぐに結論を出す必要は当然ないが、
やっぱり今日も、計算機とネットワークについて、
とめどなく探求している自分に気づくのであった。












プロデューサーの人は目的(X)が不定なのにどうやってモチベーションを維持するんでしょう?
限られた(Y)を使い、出来るものを考える事がそもそも楽しい、好きなのではないでしょうか。
その結果(X)から多少外れるかもしれないが、出来る物が素晴らしいのがプロデューサーかと思います。