2008年09月04日
10000時間
先日、また別の、私塾の師とするゲーム業界の先輩と飲む機会があった。
いつも登場する私塾の師だが、ぱっと出てくるのは5人だ。
このとき、コミュニティーエンジンには女性のプログラマが数名いる
という話をした。いまはプログラマ30名弱に対して3名だ。
これはかなり多いほうらしい。師が率いるチームでも、
20名に1名しか居ないが、それが普通のようだ。
プログラマや料理人は男性が多いのは何故か?
私は、「10年ぐらい1つのことに没頭してる女性は、とても少ないと思う。」
「とくに日本の働き盛りの世代では、「女のくせに」と言われて育った人も多いはず」
と話していたが、関連する話が紹介されていた:
自分の場合は、高校時代までは1日2時間で10年ぐらい、
大学に入ってから起業するまでは1日3〜4時間で10年ぐらい、
起業してからも同様で5年ぐらい、プログラミングに没頭する時間があった。
これまでの合計では2万時間とちょっとぐらいだろうか。
自分の知識がプロとして通用するかもしれないと感じはじめたのは、
起業する2〜3年前ぐらいだから、やっぱり1万時間が必要だったと言って良い。
以前から、私は、
知識の量が創造性を決めると考えている。
「どれぐらいの量が必要なのか?」と問われたら、
「1万時間同じことに没頭する程度」といって、
だいたい間違いないのかもしれない。
1万時間というのは、「知の高速道路」ができたら、短くなるのだろうか?
私はそうは思わない。必要なのは、知識の絶対量ではなくて、相対量だからだ。
いまある社会では、同じことに興味をもった人のうち、
1万時間没頭できる人が、仮に100人に1人しかいないとしよう。
プロの仕事が成立するというのは、いままで利用可能な知識の取引システム
(ようするに企業に就職するとか起業してサービスするなどの社会システム)
の中では、100人に1人程度の際だった希少性をもっていないと、
取引可能にならない、つまりプロにならない、という意味でしかない。
だから、Webが発達して、知識の取引システムが進化し、
10人に1人とか3人に1人程度の稀少さでも取引が可能になったら、
1000時間の没頭でもプロ(知識を売ってる)になれるし、
ごく短時間の没頭で極められるようなごくごく小さな領域に特化した
知識でも取引可能になっていく。
だからWebの影響があるとしたら知の高速道路ではなく、
取引システムの改善のほうだ。
googleのknolなどはこの取引市場を見ているのだろう。
さてここからが本題。前置きがとても長かった!
「社員にとって有益であるような会社であってほしい」
という当たり前だが重要な願いがある。
日本の大企業につとめる友人がよく言うのは
「自分の会社はプログラマを大事にしてない。」という事だ。
どうしてこうなるのか? 彼らはかなりよい待遇を得ている。
どの会社に行ってもよい待遇が得られる人がこれを言う場合には、
待遇のことを言ってるのではないことは明らかだ。
残る部分は、仕事の内容、プロフェッショナルの中身そのものだ。
彼らの多くは、会社に入る前に1万時間を経過し終わっている。
会社に入ってからは、配置換えや昇進などによって、
同じことに集中する時間を与えられていないために、
自分のプロフェッショナルの内容をさらに高めたり、
これまでとは違う分野で1万時間をすごしたり、といったチャンスが無いのだ。
「長期間同じことに没頭できる環境」を用意することが、
プログラマ(というよりプロフェッショナル)の益につながると考えられる。
そもそも、何事かに没頭しているときは、脳の報酬系が強く働き、
ドーパミンが放出され、幸福な状態になっている。
この時間が長いことは、益そのものであると言って良い。
これを実現するためには、
* 経済的に長期間安定した基盤を持つこと
* 会社の人数に比して多角化し過ぎないこと
* 配置換えや昇進について基準を持つこと
などが必要だろう。
どれも、具体的な企業努力で、実行していけるものばかりである。
技術を売ることを中心とした会社を運営していくのならば、
これらについて考え方を持っておく必要があるが、
1万時間という量から考えていけば、
具体化の仕方も逆算できるというものだ。
ちなみに冒頭のエントリの最後に「没頭しやすい性格はDNAかも」とあった。
企業努力として、没頭するのが得意な人だけ採用する、
ということも追加可能で、そのときには「これまでに1000時間以上
没頭したことがある対象は何?」というような質問ができるのかもしれない。
Posted by ringo : 2008年09月04日 08:21
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